渡辺仁 - セブン−イレブンの罠

図書館で読めば十分。ほんとならひどい話だが。

セブンイレブンの罠

セブンイレブンの罠

  • 名ばかりオーナー
  • 安価で逃げれない労働力としてオーナーを使役
  • 廃棄品からもチャージを取る
  • 「加盟店と本部は対等」というのは、さすがに無理

読みづらい本。理由はいくつかあって、

  1. 著者が必要以上にインタビューの内容を括弧で補足している
  2. 同じ表現の繰り返しが多すぎる

といったところか。同じ内容を優秀なジャーナリストが書けば、本の厚さは三分の一かもっと薄くなるだろう。
1.に関しては、本来インタビュイーが言おうとしていた事と異なる方向へ誘導してしまう可能性があり、危険。親切のつもりなのかもしれないが、逆に情報の恣意性を感じさせ、本全体の信憑性を下げている。
内容的には、セブンイレブンフランチャイズ契約は、オーナーを騙して違法な契約で働かせているから糾弾されるべき、という感じ。実際対等な立場と言いながら、本店側はフランチャイズ契約を一方的にうち切れるので、実態と異なる説明をしている本店は確かに胡散臭い。
ただ書いてあることがすべて本当かというと確信が持てないのは確かで、著者はそれは「証拠に残るような形でやっていないから」(口頭で脅す、など)だと述べているが、これでは読者の判断基準にならない。
値下げに関する裁判で昨年セブンイレブン公正取引委員会から排除措置命令を受けたことは記憶に新しいが、このことをセブンイレブン側は「真摯に受け止めます」としながらも、不服感いっぱいに見解を発表している。必死すぎて逆に怪しいけど。

公正取引委員会からの排除措置命令に関する弊社見解について
多くの加盟店オーナー様から、見切り販売に対し反対の意見をいただいております

これはあくまで「本当に」フランチャイジーと対等関係だった場合に意味を持つ発表であって、そうでないなら説得力ゼロである。例えば、中立な第三者(これが難しいか…)が行った、全オーナー対象の匿名アンケートの結果反対意見多数だった、というような話ならば信頼性は非常に大きいし、セブンイレブンともなればその程度のことは簡単にできるはずである。失いかけた信頼を取り戻すための対価としては非常に安いと思うのだが。
もしできるなら、の話だけど。