森見登美彦 - 宵山万華鏡
繰り返す光と影が織りなす万華鏡。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/07/03
- メディア: 単行本
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- 宵山姉妹
バレエの帰りに姉妹が遭遇した恐ろしい出来事
- 宵山金魚
乙川にいつも騙されていた俺。今夜こそ宵山を案内してもらうつもりだが。
- 宵山劇場
山田川に振り回されて疲れた小長井は、演劇サークルを脱退して1年が過ぎた。暇を持て余した彼は、知人からおかしな企てに引き込まれる。
- 宵山回廊
神隠しにあった従姉妹と、過去から抜け出せない伯父。柳さんに頼まれて尋ねた伯父は、何か様子がおかしかった。
- 宵山迷宮
鞍馬山で亡くなった父。彼の死と遺品との関連は...
- 宵山万華鏡
妹とはぐれた姉。知られざる宵山の裏側を垣間見る。
全体的には「きつねのはなし」と同じような、ちょっと怖い系統の話が多い。同じ時間軸の話を異なる6人物の目線から描いている。
「宵山劇場」では、「夜は短し歩けよ乙女」で出てきた"偏屈王"を仕組んだ張本人である山田川と、彼女にこきつかわれ風雲偏屈城を築いた小長井を中心に話が進んでいく。後日談的な側面もあり、「夜は〜」を読んだ人には非常に楽しめる内容になっている。意味のないことを全力でやるのは楽しい。
「宵山回廊」と「宵山迷宮」は宵山の1日を何度も繰り返す話。よくある話といえばそうかもしれない。
「宵山万華鏡」では、初めよく意味が呑み込めなかったが、要するに本物とそれを演じる大学生が別々にいたということだろうか。未だに確信が持てないが。
「夜は〜」や「四畳半神話体系」と較べると若干パワー不足の感があるが、「きつねの〜」が楽しめた森見登美彦ファンなら読んでおくべきだろう。